京都二条城ホテル案件向け用語集

Q1. SPC(特別目的会社)とは

特別目的会社(SPC = Special Purpose Company)とは、特定の資産を担保にした証券の発行など、限定された目的のために設立される会社を指します。
不動産投資の場合には、対象となる不動産(信託受益権を含みます。)を保有したり、それを裏付けに資金を調達するなどの役割を果たします。
不動産信託受益権はNo.3にて解説しております。


Q2. 親SPC、子SPC(親子ファンドスキーム)とは

リスク管理の観点や資金調達を柔軟に行いたい場合に、目的に応じてSPCを2つに分ける手法です。不動産クラウドファンディングにおいては、一般的にそれぞれが下記の役割を担います。

<親SPC(発行者)> 投資家からの出資を受ける主体。子SPCの持分(株式や匿名組合出資など)を保有。投資家との契約関係を担うため、投資家は直接不動産に関与せず、親SPCを通じて間接的に投資を行う。

<子SPC(資産保有SPC)> 親SPCからの出資と金融機関からの借入(ノンリコースローン)による資金調達を行い、実際に不動産(信託受益権を含む。)を取得・保有する主体。不動産の運営・管理はアセット・マネージャー/プロパティ・マネージャーに委託する。保有する不動産から得られる収益に応じて、親SPCへの利益分配ないし出資元本の返還を行う。

アセット・マネージャーはNo.6にて、プロパティ・マネージャーはNo.5にて、ノンリコースローンはNo.7にて解説しております。


Q3. 不動産信託受益権とは

不動産信託受益権とは、所有不動産を信託銀行等に委託した際に、委託者が得るその資産から発生する経済的利益(賃料収入など)の配当を受け取る権利のことです。
近年、資産の流動化を図る流れが不動産業界に広がっており、不動産自体を売買するのではなく、不動産から生まれる権利である「信託受益権」を売買するケースが増えてきています。

本来の不動産取引では、所有権を売買することが一般的です。
しかし、売買の都度所有権移転登記が必要になるため、手間もコストもかかってしまうのが難点となっています。

そこで、より手間もコストもかけずに売買と同様の効果を得るために活用されているのが、不動産信託受益権です。
不動産信託受益権を売買する場合には、不動産そのものを取引するわけではないので、不動産取得税もかかりません。
また、取引に必要となる手順も大幅に短縮可能となるメリットがあります。

このような背景から、不動産取引において信託受益権が利用されるケースが増加しています。

詳細は「信託受益権とは?信託受益権は担保に設定できるのか」の記事をご覧ください。


Q4. ホテルオペレーターとは

ホテル不動産投資における「ホテルオペレーター」の役割は、ホテルの運営実務全般を担う専門事業者です。
投資家(物件オーナー)に代わって、ホテルを実際に稼働させて利益を生み出す立場にあります。


Q5. プロパティ・マネージャーとは

ホテル不動産投資では、「ホテルオペレーター」と「プロパティ・マネージャー(以下、PMといいます:Property Manager)」の役割が混同されがちですが、役割は明確に異なります。

ホテルオペレーターが「事業運営(ホテルを動かす側)」を担うのに対し、PMは「不動産としての資産管理(ホテルという“箱”を守る側)」を担います。
PMはホテル建物そのものを「投資資産」として保全・最適化するのが基本役割です。

・建物・設備の保守点検、修繕計画の立案と実行
・大規模修繕・更新工事の管理(例:外壁塗装、空調・給湯設備更新など)
・不動産としての法令遵守(消防法、建築基準法など)
・入出金、口座、台帳管理


Q6. アセットマネージャー、アセットマネジメント契約とは

アセットマネージャーとは依頼者とアセットマネジメント契約を締結している者(会社)を指します。

アセットマネジメント契約とは、依頼者が保有する様々な資産の管理・運用等に関する業務(アセットマネジメント業務)を依頼者から引き受ける契約をいいます。

アセットマネジメント(Asset Management)」の記事もご参照ください。


Q7. ノンリコースローンとは

返済の原資を担保資産のみに限定した、「非遡及型融資」を意味します。

債務不履行となっても、借入人側は、その担保不動産以外の事業に対する悪影響を最小限にできるというメリットがあります。
一方、貸付人側は、担保以外の資産による返済を求めることができないため、担保資産の価値を適切に査定する能力が求められます。

※日本においては個人や法人への融資で一般的に用いられる方法としてはリコースローンがあり、身近なところでは一般的な住宅ローンが該当します。
リコースローンは借入債務の不履行が生じた場合、担保財産にとどまらず借入人の他の財産に「遡及」して返済を求められる返済義務が強いローンと言えます。

一般的なリコースローンとノンリコースローンの違いについては、下表を参照ください。
なお、ノンリコースローンは不動産信託を利用する不動産証券化案件においてシニア貸付人(シニアレンダー)とメザニン貸付人(メザニンレンダー)が存在する場合、リコースローンは不動産を担保とする事業会社による借入を想定したものです。

比較項目 ノンリコースローン リコースローン
返済の遡及性 借入人が期限の利益を喪失した場合に、担保以外の資産から返済を求めることが… できない できる
担保設定対象となる権利 借入人が保有している担保を設定する不動産に関する権利は… 不動産を主たる信託財産とした信託受益権 不動産の所有権
担保の種類 貸付人が設定する担保の権利の種類は… 質権
(停止条件付抵当権・停止条件付保険金請求質権などを設定する場合もあり)
抵当権、又は根抵当権
資金の管理 資金(返済原資となる賃料など)の管理や使途は… 予めルールを定めるため、借入人は恣意的に使途を決められない
(貸付人が監督できる)
借入人が自己の裁量で管理し、支出することができる
弁済の順序
(期限の利益喪失前)
貸付人が複数いる場合、利息支払い及び元本返済の順序は… シニアレンダーが優先され、メザニンレンダーは劣後する 借入人が自己の裁量で順序を決めることができる
不動産の運用 不動産の収益性が悪化した場合、不動産の運営に… 一定の条件が満たされた場合、貸付人が不動産の運営に直接関与することができる 貸付人が直接関与することはできない
(借入人の運営に依存)
不動産等(※)の売却 不動産の売却は… 一定の条件が満たされた場合、貸付人主導で売却することができる 原則として借入人が行う
貸付利率 設定される貸付利率の水準は… 主に不動産の価格(収益性及び売却価格)で決定
(借入人の債務弁済能力は考慮外)
主に不動産の価格(収益性及び売却価格)、及び借入人の債務弁済能力を勘案して決定

(※)抵当権の設定対象となる不動産所有権、又は質権の設定対象となる信託受益権を指します。

また、ノンリコースローンについては「ノンリコースローンとは?ノンリコースローンの特徴を解説」の記事もご参照ください。