不動産投資のプロがチェックする、建物の三つの面積とは?

不動産投資では、賃料などによる収入が得られる一方で、管理などにかかる費用の支出も出てきます。投資物件を検討するにあたっては、様々な視点から収支を計算して投資の可否を判断しますが、その視点の一つとして不動産の面積が挙げられます。
今回は、不動産投資のプロがチェックしている3種類の面積と、それらの活用方法を解説します。

 

延床面積

延床面積とは、建物の各階の床の面積を合計した面積のことを指します。ここでいう「床の面積」は、単純に壁の内側の面積を計算するのではなく、建築基準法で定められた「壁芯面積」という面積を用います。
壁芯面積とは、外壁または柱の中心線で囲まれた部分の面積のことをいいます。壁芯面積には外壁や柱の半分の面積が含まれるため、実際に居住可能な部分の面積よりも大きくなります。壁芯面積のイメージ図については、以下の記事で掲載していますので、ご参照ください。

・関連記事:壁芯面積と内法面積の違い~不動産投資家による住宅購入のポイント(8)~

一方で、建物には延床面積として計算されない部分もあります。押し入れ・クローゼットなどの収納部分やテラス・ウッドデッキなどの外部空間、玄関ポーチなどがそれに該当します。

 

施工床面積

施工床面積とは、実際に工事を行う全床面積のことをいいます。施工床面積には、玄関ポーチやテラスなど延床面積には入らない部分も加わるため、施工床面積は延床面積よりも大きい値となります。
施工床面積に建物のどの部分まで含めるかについては統一した基準がなく、ディベロッパーによって異なりますが、一般的には、施工床面積は延床面積よりも7~10%ほど大きくなるといわれています。多くの場合、積極的に確認をされるものではありませんが、後述するようなケースで登場するため、そのような面積計算方法があることをおさえておくのがよいと思われます。

 

貸床面積

貸床面積とは、建物の面積のうち、賃貸に回すことができる部分の床面積のことをいいます。マンションなどの集合住宅やオフィスビルの場合、共用部分に該当するエントランスやロビー、エレベーターなどの面積は貸床面積として計算しないことが一般的です。
延床面積に占める貸床面積の割合は、「レンタブル比」と呼ばれ、以下の式で計算することができます。

・レンタブル比=貸床面積÷延床面積✕100(%)

貸床面積は、建物の面積のうち収益を生み出す部分だということができるので、レンタブル比が高いほど収益率は高くなります。レンタブル比は、建物の用途や敷地の形状などにより異なりますが、一般的なオフィスビルでは70~80%程度となることが多いようです。

 

面積からわかるコスト

物件の面積から、不動産投資にあたってかかるコストを概算したり、他の物件との比較をしたりすることが可能になります。具体例を以下でみていきましょう。

建築コスト

物件を新たに建築する場合、物件の面積とディベロッパーが示す「坪単価」から、ある程度の建築コストを概算することができます。坪単価とは、1坪(約3.3㎡)あたりの建築費用のことをいい、ディベロッパーは広告などで「坪単価◯円」と示すことがあります。
この坪単価は、建築費用の目安となるものですが、ディベロッパーによって坪単価の算出の元となる面積が異なる場合があることに注意が必要です。
一般的には、坪単価としては、建築費用を延床面積で割った値が示されます。しかし、ディベロッパーの中には、延床面積ではなく施工床面積を用いている場合があります。施工床面積は延床面積よりも大きいため、施工床面積で坪単価を計算した場合、延床面積で計算するよりも坪単価は安く見えることになります。
ディベロッパーから坪単価が示された場合、その計算の基になっているのが延床面積か施工床面積かを確認することが欠かせないといえます。

維持管理コスト

また、物件の面積を把握することで、保険料やビルマネジメント費、水光熱費、修繕費など物件の維持管理にかかる費用が妥当かどうかを検討することができます。これらの費用は、その値だけで他物件と比べてもあまり参考にはならず、面積あたりの費用を算出することで他物件との比較が可能になります。
物件の維持管理コストについては、賃貸スペースだけでなく共用部分にもかかってくるため、面積あたりの費用を算出する際には延床面積を使用するのがよいといえます。

共用部分の管理コスト

さらに、貸床面積と延床面積の大きさを比較することで、より有益なデータを得ることが可能となります。先述のとおり、貸床面積には共用部分の面積は入らないため、貸床面積と延床面積の数値の差は、共用部分の面積ととらえることができます。
例えば、貸床面積が同じで延床面積が異なる2種類の物件があったとしましょう。この場合、延床面積が大きい方の物件は、共用部分の面積が大きいといえます。共用部分の面積が大きい場合、その分だけ清掃などにかかるコストが増えるので、費用が多くかかってしまう可能性があるということが分かります。

 

面積からわかる収入

不動産の面積は、賃料収入を予測する指標にもなります。近隣の似たようなクラスの物件の賃料単価を用いることで、おおよその収入予測を行うことができます。
賃料単価とは、賃料を貸床面積で割った値のことを指します。近隣物件の賃料単価を計算し、その値に投資を検討している物件の貸床面積をかけることで、おおよその賃料収入を概算することができます。実際に物件を購入するにあたっては、より念入りにシミュレーションを行う必要がありますが、他のエリアに立地する物件との比較という段階では、上記概算には一定程度意味があるといえます。

 

まとめ

面積をうまく活用することで、ただ単に広いか狭いかのみならず、表面的には分からないメリットやデメリットを把握することができるようになります。どの物件に投資をするか迷ったら、面積に注目するのも効果的だといえるでしょう。

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